2010年07月11日
「2011年までには、2億800万人以上の携帯電話ユーザーに対して26億枚を超えるモバイルチケットが発行される。」
情報通信業界に関する調査を専門とする英国の調査会社Juniper Researchがこのほど発表した調査報告書には、このような注目すべきデータが掲載されている。
この分野では、今後数年間、本格的なサービスの実施に向けた取り組みが加速すると見られており、報告書にも、このことを裏付けるデータが示されている。
これまでモバイルネットワーク事業者主導で行われてきた早期テストプロジェクトから、チケット発行元自身が管理する商業サービスへの移行が始まっている。
モバイルチケットには、コスト節減効果に加え、不正行為防止に役立つ優れたセキュリティ機能、紙の減量による環境負荷の軽減など、さまざまな利点がある。
今後は、交通機関の切符を中心に、これまで使われていたモバイルバーコード技術に加え、短距離通信規格のNFC (Near Field Communications)も多用されるようになる見通しだ。
すでに、極東地域では本格的な商業利用が始まっているほか、西欧や北米でも重要なテストプロジェクトが進められている。
とりわけ注目されるのは、TicketmasterやBritish Airways、Tickets.comなど、チケットの発行を管理している大手企業の間でモバイルチケットを導入する動きが広がっているという点だ。
また、O2、NTT、ドコモ、Vodafone、Nokia、Samsungなどの有力な事業者やテクノロジープロバイダーもこの分野への関与を強めている。
Juniper Researchは、市場の分析に加え、成長著しいモバイルチケット業界の主要企業代表者に対するインタビューも行って、この市場の現状と近未来の状況を描き出している。
☆報告書に示されている主な調査結果のポイント
・航空業界は、モバイル搭乗券に移行することで、毎年5億ドルの経費を節減することができる。
・2011年に行われるモバイルチケット取引の総額はおよそ870億ドルになる見通し。
・NFCは、2009年以降普及が本格化すると思われる。
また報告書は、モバイルチケットにとって2007年は重要かつ画期的な年だったと総括し、この年に始まったモバイルチケットのテストプロジェクトや商業利用は、2008年以降も継続するとの見通しを示している。
2010年07月10日
AR(Augmented Reality:拡張現実感)の技術は、1990年代の登場より長らく研究開発の範囲内にとどまってきていたが、近年はモバイル分野で高い注目を集めている。
背景にはスマートフォン、携帯電話の高機能化、インフラの高速、大容量化などがある。
Apple社のスマートフォン「iPhone」やGoogle社主導のOS「Android」搭載端末では、端末内のGPSや電子コンパス(地磁気センサー)などを活用したモバイルARアプリケーションの開発が加速しており、新しいAR活用サービスも誕生している。
国内キャリアも、AR活用サービスの開発に着手するなどAR活用のプラットフォーム環境が急速に整いつつある。
また、地理空間情報活用推進基本法成立をはじめ、地理空間情報(G空間)を有効活用した産業も市場の追い風になる可能性がある。
☆新市場の可能性とポイント
・2009年のAR 活用サービス市場は、放送産業を中心に約200 億円。
・「セカイカメラ」などの相次ぐモバイルARサービスの登場でARの認知度向上。
・2015 年の同市場は、1800 億円に拡大すると予測。最も成長する分野はモバイルコマース。ゲーム、デジタルサイネージ、モバイルコンテンツ、観光、モバイル広告、教育、などの分野も大きく拡大する。
その中でAR 技術は、「モバイルコンテンツ」「モバイルコマース」「モバイル広告」「デジタルサイネージ」「ゲーム」「放送」「教育」「観光」の8分野で活用がおおいに期待されている。
2009 年のAR 活用サービス市場は、放送分野が最も大きな市場(140億円)であった。CG などを重ね合わせる映像制作などが当てはまる。
今後は、リアルタイムで映像を処理し、全てを自動で置き換えるようなAR 活用サービスに発展すると考えられる。
また、2009年はデジタルサイネージやモバイル広告でも実験的な利用が開始されたり、頓智ドットの「セカイカメラ」が商用サービスの開始を発表している。
各キャリアがAR 技術を活用したモバイルAR サービスを展示会に出展したりするなど、認知度が大きく向上し、AR 元年となった。
2010 年はスマートフォンが本格的に普及し始めるスマートフォン元年になると言われている。アプリマーケットからAR アプリケーションをダウンロードすれば、簡単にAR サービスが開始できるため、AR 技術を活用したサービスがより身近になるとみられる。
また、KDDI が国内携帯電話でも、セカイカメラが利用できる「セカイカメラZOOM」を発表するなど、AR活用サービスの利用基盤も拡大し、様々な分野でAR 活用サービスが利用され始める。
2015年までには、雑誌などのARマーカーや写真をかざすとより詳しい情報が取得できたり、看板やポスター、欲しい商品などをモバイル端末で直接かざすことで画像処理を行い、その場で購入できるモデルが確立することが予想される。
また、モバイルAR サービスでも、位置情報にひもづいた限定クーポンの発行などコマース利用が拡大するとみられる。
2015年の市場は、モバイルコマース市場が最も成長し460億円の市場となると予測。
また、ゲーム市場250億円、放送市場250億円、デジタルサイネージ市場235億円、モバイルコンテンツ市場210億円、観光170億円、モバイル広告130億円、教育90億円の市場に大きく拡大すると予測されている。
伸び率は2008年(19%増)から低下し、2006年以来4年連続の成長鈍化となったが、依然2ケタ台を維持している。
モバイルコマース市場は、衣料品や書籍、CD/DVDなどの「物販系」をはじめ、イベントチケットや旅行チケットの販売など「サービス系」、証券取引や公営競技の手数料など「トランザクション系」の3分野が対象となる。
物販系は前年比13%増の4248億円。これまで実店舗での取引が中心だった小売業者が、携帯電話向けショッピングサイトを開設する動きが活発化し、市場が拡大した。
業者は実店舗とカタログ通販、パソコン/携帯電話向けネット通販を多面展開する傾向にある。
サービス系は前年比11%増の3891億円。従来はビジネス用の旅行チケットや交通系チケットの購入が中心だったが、最近はレジャー目的の個人利用が広がっている。
ただし伸び率は2008年(25%)から大きく落ちた。トランザクション系は8%増の1542億円。証券業界の売り上げの伸び悩みや手数料の低下から成長率は半減したが、公営競技の携帯電話利用が進み、拡大傾向は続いている。
このほか音楽やゲームの仮想アイテムなどを販売する「モバイルコンテンツ市場」は前年比14%増の5525億円規模だった。音楽に大きな伸びは見られないが、仮想アイテム分野が急成長した。
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